ペンギン先生の
「英語がよくわかる話」
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<第8回> |
By
Shuichi Motoki |
第8回 英語は反復を嫌う
it と that
: 久しぶりだよね。
: そうだよね。ペンギン先生何してたの?
: いろいろあってね。熱中すると他のことができないというか、目に入ら
ない状態があってね。そういう心の状態ってあるでしょ。
: 何かに夢中になったんだ。いいね、ペンギン先生。ヨーッ、と。
: じゃあ、今回の授業を始めようか。
: はい。前回は a
と the
の理解のしかたを教わったよね。今日は僕のほう
から質問していい?
: ほう、いいよ。言ってみて。
: 教科書を開くと、すぐに it
がでてくるでしょ。まず、that
との違いがよく
わからないんだ。
: it
ね。簡単だよ。ただ覚え方としては「今あなた(私や私たち、彼や彼女
が)が言ったそれは」とか「それを」と覚えればいいんだ。
It
を「それは」と記憶すると難しくなるよね。
That 's my book.
と言えば「それは僕の本だよ」って感じだからね。
itと区別するのにthat
を「あれは」と便宜的に教えるけどね。that
は
さっきだれかが言ったものを指していう単語ではないんだ。初めて話題
にだす時に使う。「受ける言葉じゃない」
it
はだれかが言ったひとつの物を指して、言う言葉なんだ。
英語はね、反復を嫌うんだよ。
Is the book your book or my book?
などとは言わないんだ。
これは「今いったその本は君の本?それとも僕の本ですか?」
という意味で日本語だけみればさしあたりOKでしょ。異和感はあまりない
よね。 ところが英語の世界では異和感だらけ。
普通には、
Is it yours or mine?
ってなるからね。book
はどこにもないでしょ。反復を嫌うんだ。
it
のことを代名詞というけれど、この代名詞は喋ったり聞いたりするときは
あまりよく聞こえないけど、書いたりするときには重用で厄介なものなんだ。
: What's
this? ときかれたら、It's a pen.
と応えるよね。
これは何? あなたが今言ったそれはペンです。
ああ、意味がぴったしこんだね。
: そういう風に理解しておくとずっと便利だよね。
典型的な学校の教科書を例にだしてみようか。
T: Is this a book or a pen? (見たらわかるだろうっていうの)
S: It's a pen
T: Is it black or red?
S: It's black.
T: Do you like it?
S: No. I don't like it
わかるよね。全部黒いペンのことを言っているんだ。
だから一度話題に上ったひとつのものを言い換えていっているんだ。
同じ言葉を何度も使うのを英語は嫌うのは英語のすべてに影響する
んだ。それは徹底しているんだ。
「昨日ね、僕ね、ケンくんの家に行ってね、ケン君のお母さんにケーキをごちそうに
なったんだ。そしたらケン君のお母さんはみんな食べちゃってっていうからさ、みん
な食べちゃったよ。」
この日本語あんまり妙じゃないでしょ。ところが英語ではそうはならないんだよ。
ケン君は2度目からは his
になるしね。お母さんは she
となるしね、それはそれは
代名詞にうるさいんだ。これで受験英語は悩まされる。
どうでもいいことなんだけどで、声にだすとよく聞こえないし、他のことばとくっついてし
まってね。どうでもいいよ、ってことなんだ。
英語の聞き取りは代名詞を無視して聞けば聞けるコツはつかめるね。
強く聞こえてくる音だけを拾えば意味はわかるようになっているんだ。
今日はこれからもでてくる 英語は反復を嫌う、を言いたかったんだ。
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