Key Sentences (こころに残る世界のことば)   -Page 45-

こころに残る名文・名文句をちょっとずつ紹介します。
KEY SENTENCE のところを読んでみましょう。

 

(KEY SENTENCE)


Love is not just the word 'Love'.

あい それは愛ということばじゃない



<訳>
Love is easy to say
Love is not difficult to write, either.

Love is a feeling everyone knows.
Love is to love even to the point of sadness.

Love is to want to be with you always.
Love is to want you to live forever.

Love is not just the word 'Love'.
Love is not just a feeling, either.

Love is to remember the distant past.
Love is to believe in an invisible future.

Love is to think over and over again.
Love is to live at the risk of your life.

(Shuntaro Tanikawa, Love  
translated by Kazuo Kawamura and William I Elliott )




あい 口で言うのはかんたんだ
愛 文字で書くのもむずかしくない

あい 気持ちはだれでも知っている
愛 悲しいくらい好きになること

あい いつでもそばにいたいこと
愛 いつまでも生きていてほしいと願うこと

あい それは愛ということばじゃない
愛 それは気持ちだけでもない

あい はるかな過去を忘れないこと
愛 見えない未来を信じること

あい くりかえしくりかえし考えること
愛 いのちをかけて生きること


(谷川俊太郎「あい」、訳 川村和夫、ウィリアム・エリオット)



愛というものはたくさんの表情をもっている。この詩のひとつひとつのフレーズが表しているように。今の自分の思いにどのフレーズがしっくりと馴染むかは人それぞれだろう。若い恋人たち、年月を経たカップル、親と子・・・。愛は時に暴走もする。思いの深さが図らずも相手を縛ってしまうことだってある。親は子に対して「あなたのため」なんて言葉をよく口にするが、実は自分自身の安心を得たいがための場合もある・・・などど、愛というものについて思いを巡らせばいろいろな情景が浮かんでくる。日本語の原詩は子どもたちに向けて書かれたものだそうだが、この詩を読めば大人の心にもさざなみは拡がる。