Key Sentences (こころに残る世界のことば) -Page 44- |
こころに残る名文・名文句をちょっとずつ紹介します。 KEY SENTENCE のところを読んでみましょう。 |
(KEY SENTENCE)
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Where she stopped the sign read: “Mme. Sofronie. Hair Goods of All Kinds.” One flight up Della ran, and collected herself, panting. Madame, large, too white, chilly, hardly looked the “Sofronie.” “Will you buy my hair?” asked Della. “I buy hair,” said Madame. “Take yer hat off and let’s have a sight at the looks of it.” Down rippled the brown cascade. “Twenty dollars,” said Madame, lifting the mass with a practised hand. “Give it to me quick,” said Della. (O. Henry, The Gift of the Magi ) <訳> デラが立ち止まったところの看板には、「マダム・ソフロニー。ヘア用品なら何でも。」と書いてありました。デラは階段を一つかけのぼり、胸をどきどきさせながらも気持ちを落ち着けました。女主人は大柄で、色は白すぎ、冷ややかで、とうてい「ソフロニー」という名前のようには見えませんでした。 「髪を買ってくださいますか」とデラは尋ねました。 「買うさ」と女主人は言いました。「帽子を取って見せなさいよ」 褐色の滝がさざなみのようにこぼれ落ちました。 「20ドル」手馴れた手つきで髪を持ち上げて女主人は言いました。 「すぐにください」とデラは言いました。 (オー・ヘンリー「賢者の贈り物」) デラは夫にクリスマスプレゼントを贈りたい一心で、自慢の美しい髪の毛を売ることにします。貧しくてプレゼントを買うお金がなかったからです。涙をぬぐい、意を決してこの店にやってきたのです。"Will you buy my hair?" という言い方に彼女の切ない想いが感じられます。お金を手にして街に出た彼女は、とある店で、夫が大切にしている懐中時計にピッタリのすばらしい鎖を見つけます。一方、夫は夫でデラに櫛を贈ろうとします、自分の懐中時計を売って・・・。クリスマス・イブの、若くて貧しい夫婦の物語です。原題のthe Magi とは、イエス・キリストの生誕を祝うために贈り物をたずさえて馬小屋を訪れた東方の賢者たちのことです。彼らも及ばぬ深い想いを、この二人は互いに贈りあったということになるのでしょう。究極の贈り物、ですね。 |