Key Sentences (こころに残る世界のことば)   -Page 43-

こころに残る名文・名文句をちょっとずつ紹介します。
KEY SENTENCE のところを読んでみましょう。

 

(KEY SENTENCE)


I am a thousand winds that blow.

千の風になってあの大きな空を吹きわたっています。



Do not stand at my grave and weep,
I am not there. I do not sleep.

I am a thousand winds that blow,
I am the diamond glints on snow,
I am the sunlight on ripened grain,
I am the gentle autumn's rain.

When you awaken in the morning's hush,
I am the swift uplifting rush
of quiet birds in circled flight.
I am the soft stars that shine at night.

Do not stand at my grave and cry.
I am not there, I did not die.

( A THOUSAND WINDS
, Author Unknown 


<訳>

私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 眠ってなんかいません
千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹きわたっています

秋には光になって 畑にふりそそぐ
冬はダイヤのように きらめく雪になる
朝は鳥になって あなたを目覚めさせる
夜は星になって あなたを見守る

私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 死んでなんかいません
千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹きわたっています

(作者不詳 「千の風になって」 新井満訳)


この詩を書いたのはアイルランド共和軍(IRA)のテロで亡くなった24歳の青年だと言われています。自分が死んだときに開封してほしいと両親に託していた封筒に、その詩が残されていたそうです。アメリカのコラムニスト、アン・ランダースが新聞で紹介して以来、大切なひとを亡くした悲しみと喪失感を和らげることばとして人から人へと語り継がれるようになってきました。1行1行が心にしみわたります。悲嘆にくれる魂を鎮めていく、凛としたやさしさがあふれています。言葉がその真価を最大限に発揮している、そう思わせる詩です。原詩は美しく韻を踏んでいます。