Backyard(ナルニアの裏庭)

ナルニアのウラ庭。ここでは、ナルニアのこと、その他いろいろ、、、ふと、思いついたことなど、ときどき紹介していきます。
って、、つづくかなあ?(汗)



身につけたもの


9年間ナルニアに通い、この3月に卒業していった生徒たちのことを少し書きたい。

このクラスは女生徒2人だけのクラスだった。もちろん最初から2人だったわけではない。クラスにもいろいろと個性があり、8人でスタートして、誰ひとり欠けることなく卒業していくようなクラスもあれば、このクラスのように5人6人でスタートしても最後に残るのは半分(以下)、というようなクラスもある。どうしてそんなふうに違ってくるのだろう?

ひとつには、もちろん、本人の適性。その習い事に向いているかどうかは、いちばん大きな要因だ。

しかし、最初からこれを判断するのはなかなかムズカシイ。
(英語に限らず)何か習い事を始めるきっかけは、年齢にもよるが、本人の意思と言うより、親の意向や既に習っている兄姉等の影響で、と言うような場合が多い。

確かに「合うか合わないかはやってみなければ分からない」のだが、「これを身につけさせたい」という親の希望があまりに強いと、本人の適性を見極めようとする眼は曇る、ということだってある。その結果、合えばいいのだが、「こんなはずでは・・・」となる場合も出てくる。我が子のそういう現状を受入れ、その後どう決断するかは、各家庭で違う。やめる場合もあるし、保護者がサポートしながら続けさせる場合もある。

もうひとつの大きな要因はクラスの体質だろう。

人数的には申し分なくても、英語や海外への興味が薄かったり、コツコツしたことが苦手な子の割合が多ければ、そのクラスは伸びにくい。逆に、少ない人数でも、知識欲があり、英語の世界を知っていくことに楽しさを感じられるような生徒が複数いれば、残りの生徒はそれに引っ張られて、結構よいクラスに育っていくものだ。このクラスだったから、この子(たち)は続いた、あるいは、力がついたというような例は、これまでにもいくつかある。もちろん、その逆の例も。

 



で、今年の卒業生たちのクラスはどうだったかというと、なにしろ残ったのが2人だ。ナルニアとの相性がよくない生徒の方が多かったということになる。それでは、残ったこの2人が英語に興味があり、積極的に練習もし、というような生徒たちであったかというと、正直言って、そうでもない。どちらかというと、伸び悩む場面も結構印象に残っている。

ただ、英語を続けることに功を奏したのはふたりの性格だろう。ふたりとも素直で真面目なところがあり、言われた練習方法はなるべく守ろうとするところがあった。英語がすき、いつか海外に行ってやろう、というような積極的なモチベーションがあるようには思えなかったが、多分、ふたりにとって、ナルニアのレッスンや家庭での練習は何とか続けていけそうな類いのものだったのだろう(と、私は思っていた)。

ところが・・・レッスン最終日のことだ。
最後のレッスンが終わったあと、ふたりは私に可愛らしいブーケと紙包みを渡してくれた。「多分手紙をくれたのだろう」、包みの形状から私はそう思った。

卒業していく生徒たちの中には、9年10年と通ったナルニアへの思いを言葉にして伝えようとしてくれる者も多い。そういうものは、後でゆっくり読みたいから、このときもそうすることにした。

紙バッグの中には確かに2通のメッセージが入っていた。が、それだけではなかった。ブローチの好きな私に合わせて選んでくれたと思われるプレゼントがひとつ。そして、ナルニアの玄関を描いた小さな絵がひとつ・・・。

レッスン中のエピソードや季節のイベントの印象などがつづられたそれぞれのメッセージを読み、二つのプレゼントに見とれた後、私がどんなに素敵なものをもらったと思っているかを伝えたくて、ふたりにラインやメールで英語のメッセージを送った。すると、彼女たちもそれぞれ英語でメッセージを返してきたのだ。それを読んで、こちらもまた英語で返す・・・。

ふたりが送ってきた英語のメッセージには、レッスンなら朱を入れたくなるようなミスもあった。でも、そんなものを補って余りあるものを、私は感じていた。英語には英語で応じる。しかも、伝えたいことをできるだけ明確に伝えられる英語で。その姿勢と力が備わっていたことを、彼女たちは、図らずも、最後に見せてくれたのだった。