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Happy
Holidays!
暮れの、クリスマス間近のこと。海外から小さな荷物が届いた。
差出人の欄には、思いがけない、懐かしい名前が。
オーストラリアの大学に留学中のナルニア卒業生からだった。
箱の中にはクリスマスカードと子ども向けのクリスマスの本、それにサンタのオーナメントが2体入っていた。サーフボードを手にした裸のサンタ。もう一体は缶ビール片手にサングラスをかけている。真夏のクリスマスを象徴するような、いかにもオーストラリアっぽいサンタたちだ。
カードには、オーストラリアからこうやって便りを出せるのがうれしい、英語が好きになり、ここまで来れたのはナルニアに通っていたからだ、というようなことがキレイな筆記体でつづられていた。
ナルニアに通ったから・・・そうかもしれない。彼女にとって、確かにこの教室は、英語や海外に目を向けることになった原点のようなものなのかもしれない。
でも、もっと英語を勉強したい、もっと海外のことを知りたい、ナルニアに通ううちに生まれてきたその想いを、はっきりとした目標や夢へと結びつけていったのは、他ならぬ彼女自身だ。
オーストラリアは彼女にとって、2度目の滞在になる。
最初は高校生の時だった。海外でホームステイするのが念願だった彼女から相談を受け、私はナルニアと親交のあるウォーカー家でホームステイさせてもらうのはどうか、と提案したのだ。
ウォーカー家の皆さんはこのプランを快く受け入れてくれ、彼女はオーストラリアでの初ホームステイを実現させた・・・と、この辺りのいきさつは、以前に「ウラ庭」で紹介したことがある。
自分の「好き」を見つけ、夢を実現させていくための努力を惜しまず、行動に移す。
私の知っている彼女にはそういうところがあった。
カードにはこんなメッセージもつづられていた。
サンタのオーナメントは教室のツリーに、本屋で見つけたクリスマスの本は生徒たちに読んでもらいたいと。
クリスマスが近くなると、教室はクリスマスバージョンになる。ツリーやオーナメントが飾られ、レッスンではクリスマスソングを歌い、詩や物語を読む。
彼女にとって、そういう情景は「ナルニアでの原風景」のひとつとになっているのかもしれない。それが本やオーナメントというプレゼントに結びつき、教室の子どもたちに送られてきたのだろう。
早速サンタたちを飾ってみる。が、陶製のオーナメントはちっちゃなナルニアツリーには少々重すぎるようだ。で、手作りオーナメントのコーナーに飾ることにした。
・・・スゴく目立つ。うん、これでよし。十分子どもたちの目に留まるだろう。
本の方は "The First Christmas"
というタイトルの、イエスの降誕を描いた絵本だ。が、正統派の降誕ものとはひと味違う。挿絵のタッチがほのぼのと可愛らしく、登場する人も動物も、いや、英語の文までどこかとぼけた雰囲気があるのだ。せっかくなので、小学生にはクリスマスパーティで読み聞かせ、中学生達はレッスンの時に一緒に読むことにした。
さて、この本を読んだ(めくってみた?)感想や夏バージョンのサンタたちのことを、お子さんはお家の方に話したでしょうか?あるいは、それは海外で英語の勉強を続けている、ナルニアのセンパイが送ってくれたクリスマスプレゼントなのだというようなことも。
何事につけ反応の乏しい子どもたちを前にすると、ついこんな風なことを思ってしまいます。
こういうことをこそ、私はナルニアの子どもたちとシェアしたいのです。
でも、もしかして、感受性のアンテナが働いていないように見えても、このような出来事が子どもたちの内側のどこかをかすり、どこかにひっかかり、やがて心のひだを作り出すきっかけになっていくのかもしれません。そうであればいいと思っています。
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