ペンギン先生の
「英語がよくわかる話」
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<第27回> 最終回 |
By
Shuichi Motoki |
最終回の雑談 英語って何?
: 外国語としての英語学習は左脳を使う学習なんだ。
英語の細かいルールを理解していくわけだから、音楽を聴くのとちがう
よね。社会性を学ぶということにもなるんだ。
: 社会性?
: うん、社会には家にいる時と違ってルールがあるだろ。それを守るだろ。
人がね、裸になって、通りでサンマ焼いて、太鼓たたいていたら、変だろ。
それはルールなんだ。家の中でしていいことが一歩社会に出るとだめな
こともあるよね。言葉を学ぶというのは、もっと広い意味で、個人の内面
から社会の共通のルールを学ぶということにもなるんだ。左脳は社会性を
身につけ、それを維持する脳なんだ。
: ずいぶん前から「英語は右能でおぼえろ」みたいな本がでていたよね。
それはどうなの。
: リスニングをする時、右脳でやっちゃえ、というのは、例えば英語って
リエゾンするだろ?
: リエゾンって?
: Get
up だったら get の t と、up
の音がくっついて、「ゲットゥ アップ」
ではなくて 「ゲッラップ」になる。
こういう聞き取りは音楽を聴くように聴いたほうがいいだろうね。
イントネーションやアクセントも 右の脳を使うからね。
ここで言っているのは 本格的に英語の構造を理解していくときだ。
ここでは左脳のフル活用だ。ただし左脳は緊張を強いるところ
だから、すぐに緊張を解きたくなってくる。
: そうなんだ。人の国の言葉の法則を学ぼうとする意味が中学生の
頃はあんまりよく分からなかったな。今ならわかるんだけどね。
: みんなそう言うんだよ。でやりなおす。
: その時は遅い?
: 言語感覚がいい人っているよね。あれは英語を音楽のように聴くんだ
ろうね。
間違いを恐れないって人も得だよね。
間違いを犯すのは語学をやっている限り当たり前、常識なのに、
「恐れてしまう」というのは妄想がきつい人なんだろうね。自分で
「怖がっているんだからね」
: 僕はペンギン先生に習ってから、in
や to っていう前置詞や a とか
the
なんかはとりあえず話すときは無視することにしたんだ。
楽になったよ。
See traffic light turn right corner
でわかっちゃうもんね。
: えらい。そうそれでいいんだよ。仕事などできちんとした文を書か
なければならないというのなら文法というか書き方の練習はやった
ほうがいいよ。ちょっとしたコミュニケーションなら、単語を並べていく
だけでもわかるからね。
でもね、外国語のルールを学ぶっていうのは、別の意味でおもしろい
ことがあるんだ。ルールは文化に根ざしているからね。英語を使う
人々と僕ら日本語を話す人の背景にある文化に触れてしまうんだ。
その経験でより比較して、自分たちが普段使う言葉を考えることにも
なる。
自分の家を見る場合、自分の家にいて見るのと、友達の家に行って、
そこから自分の家を見るのと違うだろ。おのずから比較もするし、共通点
も探すだろ。アメリカへ行って、自分の家や家族を見てみるともっと違うと
思うよ。こういうのを「カルチャーショック」っていうけど、実は中学の英語
の勉強ではカルチャーショックの連続のはずで、どうしてこんなに同じ人間
が話す言葉というのは違うのか、なんて考えるのは興味深いはずなんだ
よね。でもね、いたずらに学習範囲、テストなどに縛られてね、無味乾燥
とした英語の授業を受けている人も多いと思うよ。
: ペンギン先生は英語の特質はなんだと考えているの?
: 論理性だね。とにかく整合性がないといけない。厳格性っていってもいい
かな。
: 日本語は?
: あいまい性だね。あいまいでも許される。
: どっちが好き。
: 僕は英語だね。あいまいな物言いがあんまり好きでない、というのと
同じだよ。日本語を喋っているけどね。人間関係が煩雑な日本語は
窮屈だよね。これを思うと日本語が個人の自由さと平等性に対して対応
できる言葉になるまでにまだまだ百年、二百年とかかると思うとうんざり
するよ。変わってくる日本語を非難する妙な人もいるよね。言葉は
変わっていかなければならないんだ。「美しい日本語」って何よ、って
言いたいね。こんなあいまいな言い方ないよね。美しい日本語。わかる?
: まほろば とか かたたご たおやか とか そんなの?
: それは和語じゃないか。
さて、英語だけど、外国語がひとつわかると人生生活がもっと広くなるよ。
深くなるかどうかはその人の問題だけど、移動できる場所が増えるよね。
話できる人も増えるよね。
アザラシ君も頑張って勉強してね。
: はい、やります。ありがとうございました、ペンギン先生。
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